農業法人設立、就農・農業参入・6次産業化支援【田中やすあき行政書士事務所】

ブログ

農業が会社経営に適さない理由その2

2020.06.03

前回、株式会社の仕組みについて、「集金システムの構築」と「リスク分散」であるという事。

そして、株式会社が目指す最終的な目的は「利益を株主に分配する事」であり、株式会社の宿命であるともお伝えしました。

→ 前回の記事

 

では、今回は、株式会社と農業について、私なりの考えをお伝えします。

 

繰り返しになりますが、株式会社は、宿命として、株主の為に利益を追求しなければなりません。(これは、法制度上、そういう風に設計されているので、そういうものとして、ご理解下さい。)

 

では、「利益を上げる為にはどうすればよいでしょうか?」

 

利益は「売上-経費」なので、

結論を言うと、売上を増やすか、経費を削るかしかありません。

 

では、まず、「売上を増やすにはどのようにすれば良いでしょうか?」

通常、売上は「商品価格×販売数」ですから、価格を上げるか販売数を増やすかの2択になります。(どちらとも増やしても良いので3択かな。)

 

なるほど。。。

そしたら、農業では、こういう公式が成り立ちそうです。

 

「生産規模の拡大 = 販売数の増加」

「高付加価値農産物の生産(ブランド化など) = 販売価格の向上」

 

おうバッチリ。

これで「農業でも利益が追求できる!」

 

という事で、国や行政も一生懸命に、規模拡大を推進してるし、ブランド化も進めています。

じゃあいいんじゃない・・・・

 

と。

でも、私は、これには、ちょっと待った!と言いたい。

 

ここに、落とし穴というべき、大事な視点が欠けています。

 

「規模拡大。その先どうなるのか?」

「ブランド化の本当の意味?」

 

規模拡大していくと、おのずと、マーケットの奪い合いに巻き込まれます。

これが資本主義のルール。

日本だけではなく、全世界相手。

果たして、世界相手に勝てるのか?

 

そもそも、農作物が輸出に耐えられるのか?

輸出できる作物は?。。。となると作物は限られるので、どこの企業も同じような作物を作り始めます。

その結果、どこでも作れるように、沢山のコストやエネルギーをかけて、環境制御をはじめます。

どこでも同じような作物が作れるという事は、すぐに競争が激化して、価格も下がるという事に繋がります。

 

そして、最終的に行きつく先は、GAFAのように、巨大農業企業だけが生き残る世界・・・・。

になるんですよ。資本主義が続くかぎり。

 

更に、加えると、IT産業などに比べると、農業の規模拡大には、農地の確保の他、大きな設備投資も必用になったりして、中々容易ではないのも事実です。農業は、そもそも、レバレッジの効きにくい1次産業なんです。

 

そして結論。

「規模拡大は、結局、資本力勝負に行きつく」

それも全世界相手。

 

そうすると、規模拡大には、株式会社の集金システムとは親和性が高いので、 「私は農業界のGAFAを目指す!」というのであれば、株式会社の仕組みは大いに利用できると思います。

もし、日本に、このような方がおられたら、株式会社をお勧めします。

 

でも、大多数の方は、おそらく違いますよね。

だから、私は、こう思います。

「日本では規模拡大は追求すべきではない」

更には、

「もう、規模拡大とか、そういう時代じゃない」

 

それでも、どうしてもというならば、国内マーケット分までにしておくべきかと。(国内マーケットは、どんどん小さくなってますが)

 

はてはて。

今回、長くなりましたので、これで終わります。

 

次は「ブランド化」の話をしてみます。

 

 

↑このページのTOPへ