農業が会社経営に適さない理由その2
前回、株式会社の仕組みについて、「集金システムの構築」と「リスク分散」であるという事。
そして、株式会社が目指す最終的な目的は「利益を株主に分配する事」であり、株式会社の宿命であるともお伝えしました。
→ 前回の記事
では、今回は、株式会社と農業について、私なりの考えをお伝えします。
繰り返しになりますが、株式会社は、宿命として、株主の為に利益を追求しなければなりません。(これは、法制度上、そういう風に設計されているので、そういうものとして、ご理解下さい。)
では、「利益を上げる為にはどうすればよいでしょうか?」
利益は「売上-経費」なので、
結論を言うと、売上を増やすか、経費を削るかしかありません。
では、まず、「売上を増やすにはどのようにすれば良いでしょうか?」
通常、売上は「商品価格×販売数」ですから、価格を上げるか販売数を増やすかの2択になります。(どちらとも増やしても良いので3択かな。)
なるほど。。。
そしたら、農業では、こういう公式が成り立ちそうです。
「生産規模の拡大 = 販売数の増加」
「高付加価値農産物の生産(ブランド化など) = 販売価格の向上」
おうバッチリ。
これで「農業でも利益が追求できる!」
という事で、国や行政も一生懸命に、規模拡大を推進してるし、ブランド化も進めています。
じゃあいいんじゃない・・・・
と。
でも、私は、これには、ちょっと待った!と言いたい。
ここに、落とし穴というべき、大事な視点が欠けています。
「規模拡大。その先どうなるのか?」
「ブランド化の本当の意味?」
規模拡大していくと、おのずと、マーケットの奪い合いに巻き込まれます。
これが資本主義のルール。
日本だけではなく、全世界相手。
果たして、世界相手に勝てるのか?
そもそも、農作物が輸出に耐えられるのか?
輸出できる作物は?。。。となると作物は限られるので、どこの企業も同じような作物を作り始めます。
その結果、どこでも作れるように、沢山のコストやエネルギーをかけて、環境制御をはじめます。
どこでも同じような作物が作れるという事は、すぐに競争が激化して、価格も下がるという事に繋がります。
そして、最終的に行きつく先は、GAFAのように、巨大農業企業だけが生き残る世界・・・・。
になるんですよ。資本主義が続くかぎり。
更に、加えると、IT産業などに比べると、農業の規模拡大には、農地の確保の他、大きな設備投資も必用になったりして、中々容易ではないのも事実です。農業は、そもそも、レバレッジの効きにくい1次産業なんです。
そして結論。
「規模拡大は、結局、資本力勝負に行きつく」
それも全世界相手。
そうすると、規模拡大には、株式会社の集金システムとは親和性が高いので、 「私は農業界のGAFAを目指す!」というのであれば、株式会社の仕組みは大いに利用できると思います。
もし、日本に、このような方がおられたら、株式会社をお勧めします。
でも、大多数の方は、おそらく違いますよね。
だから、私は、こう思います。
「日本では規模拡大は追求すべきではない」
更には、
「もう、規模拡大とか、そういう時代じゃない」
それでも、どうしてもというならば、国内マーケット分までにしておくべきかと。(国内マーケットは、どんどん小さくなってますが)
はてはて。
今回、長くなりましたので、これで終わります。
次は「ブランド化」の話をしてみます。