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3訂版 新規農業参入の手続きと農地所有適格法人の設立運営

2020.05.01

令和2年5月、私が執筆致しました表記タイトルの著書が発刊されます。

お世話になりました日本法令様、その他、各ご協力をくださいました皆さま方に御礼申し上げます。

 

本

 さて。

発刊に際しまして、私の考える「農業の法人化」について、お話しておきたいと思います。

まず、このような著書を執筆してますと、私の事を「農業法人化推進論者」のように思われるかも知れませんが、そうではありません。むしろ、その反対です。(一部のケースを除いては・・)

 こんな事書いたら、本が売れなくなるかな~(笑)

 

私が、今の仕事(農業行政書士)を始めたのは2006年。

当時の私は、確かに「農業法人化推進論者」だったかも知れません・・・・。

 

ところで、私は、農業を知れば知るほど、その奥深さに魅了され「もっと知りたい、もっと出来るハズ」と、2012年に私自ら会社を設立して農業参入を果たしました。

 

現在、経営面積は1.1ha。いちご、いちじくを中心に、観光を軸とした農家(農業塾や農業行政書もしてますが。。)として生計を立てています。私の会社は、私と妻の2名のみ。会社といっても家族経営です。

だから、もちろん私もバリバリ現場農業を行っています。

 

これら経験を通じて、当初の私の考えはまるで変わりました。

ずばり「農業は一部の人を除いては、会社経営に適さない」

偽らざる今の私の本音です。

 

 

行政を含め、業界関係、専門家の方などが、法人化を勧める理由としては

〇取引先の信用があがるから・・・

〇融資が受けやすいから・・・

〇節税できるから・・・

〇補助が受けやすいから・・・

〇責任が有限だから・・・(特に、専門家からはこのように言われる事もあると思います)

等です。

 

どれもそれらしく聞こえますが、個人でも全く問題ありません。

簡単にですが、ひとつづつ説明します。

 

〇取引先の信用・・・今は、「○○さんのトマト」とか顔が見える方が喜ばれるので、法人は顔が見えにくく、マイナスになる事もあります。

〇融資が受けやすい・・・あり得ません。法人でも個人でも実績と計画によります。

〇節税できるから・・・個人も同じです。むしろ、確定申告が2回ありますから、2人分の税金が発生します。

〇補助が受けやすいから・・・補助金の要件によりますが、殆どは「認定農業者である事」になってます。これは個人でも同じです。ただ、一部、個人の場合は農家3軒以上とかありますので、この場合は、変わるかも知れません・・。

〇責任が有限だから・・・株式会社などは、資本金(出資金)の範囲内での責任で済むので、倒産した場合などは、個人には責任は及びません。(個人は法人の借金返済義務はないという事)。法律上は確かにそうですが、実際、法人で借り入れを行う時は、代表者が連帯保証人になりますので、法人と個人は一蓮托生です。

 

逆に、法人だとデメリットになる場面も多々あります。(私の経験から)

 

〇農協の組合員になるのも、協議があり時間がかかりました。。(今はそうでもないでしょうが)

〇認定申請時も窓口で戸惑われたり「法人は無理」と言われた事もあります。(今は、大丈夫だと思いますが。法人でももちろん認定取れますよ)

〇農協で自動車ローンを組もうと思った時、自動車ローンは個人前提なので、法人名義では難しいと断られるたこともありました。(実際農業をしているのは私なのにね・・・。)

他にも沢山。窓口もなにも、まだまだ個人農家が前提になっていて、法人に慣れていないのでしょうね。

 

これらは、まあ、なんとか頑張ればいいのですが、

法人最大のデメリットは、なんといっても手間や経費がかさむという事。

 

〇何もしなくても、法人税(住民税)は7~8万円が必要になる。

〇法人決算は決算書が必用で殆どの方は税理士等の専門家に頼らざるを得ない。税理士費用が必用になる。

〇個人としての確定申告も必要になる。

など。

 

さて。

これで、法人について、だいぶネガティブになりましたかね。

 

 

長くなりますので、今回は、この辺にします。

次回は、「農業が会社経営に適さない理由」や「法人が適する一部の人(ケース)」について、もう少しお話してみます。

 

 

 

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